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省エネ住宅の基礎知識

断熱窓と二重サッシの違いを比較|性能・費用・選び方を解説

梶原 誠一 / 更新:2026-06-24
断熱窓と二重サッシの違いを比較|性能・費用・選び方を解説
「断熱窓」と「二重サッシ」、どっちが正解なの?と迷っている方へ。結論から言うと、この2つは比べる対象が少しずれています。

断熱窓は「断熱性能の高い窓」という総称で、二重サッシ(二重窓・内窓)はその実現方法の一つです。つまり“性能の話”と“構造の話”を並べているわけです。

この記事では、用語の定義から構造・性能・費用・補助金・選び方までを整理します。補助金申請サポートを10年以上やってきた私、梶原誠一が、現場で見てきた失敗例も交えて率直に書きます。

断熱窓と二重サッシの違いを最初に整理

【比較】これを選べ!各社の内窓の違いについてプロが徹底比較します!【二重窓】
【比較】これを選べ!各社の内窓の違いについてプロが徹底比較します!【二重窓】

まず言葉の整理から。ここを誤解したまま見積もりを取ると、話が噛み合いません。私が窓口でいちばん多く受けるのも、この用語の混乱です。

断熱窓とは(高断熱な単一サッシ)

断熱窓は、ひとことで言えば「熱を通しにくい窓」の総称です。樹脂サッシや複層ガラスを使った高性能な1枚の窓も、内窓を足した状態も、結果として断熱性が高ければ広い意味で断熱窓と呼ばれます。

窓は住宅の中でも熱の出入りが大きい部位です。民間の解説では、冬は約35%もの熱が窓から流出する場合があるとされています。

二重サッシ(二重窓・内窓)とは

二重サッシは、既存の窓の内側にもう1枚窓を追加する構造です。二重窓・内窓と呼び方は違いますが、指しているものは同じです。

追加した窓と既存窓のあいだに空気層ができ、この空気の層が断熱の主役になります。

結論:根本的な仕組みの違い

断熱窓は「性能の総称」、二重サッシは「窓を2つにする方式」。レイヤーが違うのです。

だから正確には「断熱窓 VS 二重サッシ」ではなく、「断熱窓を実現する手段として、窓を1枚入れ替えるか、内窓を足すか」という比較になります。ここを押さえると、以降の話が一気に分かりやすくなります。

断熱窓と二重サッシの構造・原理を比較

仕組みの違いを、窓が1つか2つかという視点で見ていきます。断熱の原理が違うので、向き不向きもここから生まれます。

断熱窓と二重サッシの構造・原理を比較

窓が1つか2つかという発想の違い

高断熱な単一サッシは、ガラスとフレームそのものの性能で熱を防ぎます。窓は1枚のまま、中身を高性能にする発想です。

二重サッシは窓を2枚にして、あいだの空気層で熱の移動を抑えます。既存窓はそのまま残せるのが大きな違いです。

比較表で一目で分かる違い

断熱窓(単一サッシ)と二重サッシの構造比較
項目断熱窓(高断熱な単一サッシ)二重サッシ(二重窓・内窓)
断熱の原理ガラス・フレーム自体の性能窓2枚の間の空気層
既存窓入れ替える/カバーするそのまま残して内側に追加
窓の枚数1枚2枚
開け閉め1回2回(内窓と外窓)
賃貸での実施原則むずかしい現状回復しやすく実施例あり

表のとおり、二重サッシは「既存窓を残す」のが最大の特徴です。賃貸や予算重視ならここが効いてきます。

使われるガラスの種類(複層・真空・合わせガラス)

よく混同されますが、二重窓は「窓の構造」、複層ガラス(ペアガラス)は「ガラスの仕様」で、別物です。

窓に使われる主なガラスの種類
ガラス構造得意なこと
単板ガラス1枚安価だが断熱は弱い
複層ガラス2枚+空気層断熱・結露抑制
合わせガラス2枚を中間膜で接着防犯・割れにくさ
真空ガラス2枚+真空層薄くて高い断熱

内窓に複層ガラスや真空ガラスを組み合わせると、構造×ガラスの両面で断熱を上げられます。

断熱性能を数値で客観的に比べる

「断熱がいい」と言われても、感覚では選べません。数値の見方を押さえておくと、見積もりの良し悪しを自分で判断できます。

断熱性能を数値で客観的に比べる

熱貫流率(Uw値)と断熱等級とは

Uw値は、窓全体でどれだけ熱が逃げるかを示す数字です。小さいほど熱が逃げにくい、つまり断熱性が高い窓だと考えてください。

正直に言うと、各製品のUw値や断熱等級は仕様で変わります。具体の数値は商品カタログや見積書で確認するのが確実なので、ここでは断定的な数字は出しません。

フレーム素材による断熱性能の違い

見落とされがちなのがフレームです。ガラスを良くしても、フレームから熱が逃げると効果は半減します。

私の経験では、樹脂サッシは触っても冷たさが伝わりにくい。アルミは冬場、手で触ると明確に冷たいです。素材で体感が変わるので、フレーム素材は必ずチェックしてください。

防音・遮音性能の差

二重サッシは断熱だけでなく、防音にも効きます。窓が2枚になり空気層が音を遮るためです。

二重サッシの断熱・結露抑制・防音の効果は、住宅情報サイトの解説でも説明されています。

結露対策としての効果

二重窓は既存窓と新設窓の間の空気層によって断熱性を高め、その結果として結露も抑えます。

冬の朝に窓がびっしょり、というご家庭。内窓を足すと室内側の窓が冷えにくくなり、結露が減ります。これは現場でも体感差がはっきり出るポイントです。

工事方法・費用・工期の違い

【内窓リフォーム(二重窓)】簡単で今人気の内窓リフォームのメリットを紹介!【街の玄関ドアやさん】
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ここが選択を分ける現実的な部分です。工事のやり方で費用も工期もまるで変わります。

断熱窓へのリフォーム(カバー工法・はつり工法)

既存窓を高断熱な窓に替える場合、主に2つの方法があります。カバー工法は既存の枠を残して上から新しい窓をかぶせる方式で、壁を壊しません。

はつり工法は既存の枠ごと撤去する方式です。壁を一部壊すため、工期も費用も大きくなりがちです。

二重サッシ設置の工事と工期

二重サッシは既存窓を残し、内側に窓を足すだけ。壁を壊さないので、1か所あたり短時間で終わることが多いです。

既存窓に手を入れない分、住みながらの工事と相性がいい。これが私が予算重視の方に内窓を勧める理由の一つです。

費用相場の比較

二重窓の費用は、窓の大きさや性能で変わります。大きい窓ほど、高性能ほど高くなる、というのが基本です。

正直に言うと、ネットの「相場いくら」は条件で大きくぶれます。同じ部屋でも窓の数と大きさで総額が変わるので、必ず現地見積もりを取ってください。一般論より、自宅の窓を測った見積もりが唯一信頼できる数字です。

設置前に撤去・移動が必要な干渉物

内窓は窓の内側にスペースが要ります。ここを見落とすと「付けられない」「カーテンが当たる」が起きます。

内窓設置で干渉しやすいもの
干渉物起きること対応
カーテンレール内窓と当たる移動・付け替え
カーテンボックス奥行きが足りない加工・移設
ブラインド開閉できなくなる位置変更
手すり内窓が閉まらない事前に要相談

見積もり時に「この窓、何か内側に付いてますか」と聞かれたら、これらを確認しています。事前にスマホで写真を撮っておくと相談がスムーズです。

どちらを選ぶべきかの判断基準

ここで立場を取ります。多くのケースで、まず検討すべきは二重サッシです。理由を住まいの条件ごとに整理します。

どちらを選ぶべきかの判断基準

賃貸か持ち家かで選ぶ

賃貸なら、原則として二重サッシ一択に近いです。既存窓を残せて、退去時に外せるタイプもあるためです。窓の入れ替えは大家さんの許可がほぼ必須で、ハードルが高い。

予算・既存窓の状態で選ぶ

予算を抑えたい、工事を短く済ませたいなら二重サッシ。既存窓が古くて枠ごと傷んでいるなら、思い切ってカバー工法での窓交換が向きます。

私の判断軸はシンプルで、既存窓がまだ使えるなら内窓、既存窓に問題があるなら交換、です。

寒冷地・温暖地など地域で選ぶ

寒さが厳しい地域ほど、空気層の効果は大きくなります。寒冷地では内窓+複層・真空ガラスの組み合わせが効きます。

温暖地では結露や夏の暑さ対策が主目的になりがち。目的に合わせてガラスを選ぶのが正解です。

目的(断熱・防音・防犯)別の選び方

目的別の選び方の目安
目的向いている方法ガラスの選択
断熱二重サッシ複層/真空ガラス
防音二重サッシ厚めのガラス
防犯ガラス交換も検討合わせガラス
結露対策二重サッシ複層ガラス

防犯を最優先するなら、構造より割れにくい合わせガラスの採用が効きます。目的を1つに絞ると迷いません。

補助金・光熱費・メンテナンスで損しない知識

私の本業はここです。補助金を取り損ねると、同じ工事で数万〜十数万円も損をすることがあります。正確な情報で動きましょう。

補助金・光熱費・メンテナンスで損しない知識

先進的窓リノベ事業など補助金の対象と申請の違い

2026年は、国の「住宅省エネ2026キャンペーン」の一環として「先進的窓リノベ2026事業」が案内されています。窓・ドアの断熱リフォームに補助金が出るとされています。

地方自治体の補助制度と併用できる場合があると、メーカーの案内にあります。国と自治体、両方を確認するのが鉄則です。

ただし注意。今回確認した範囲では、補助金の正式な公募要領・上限額・対象期間を直接示す一次資料までは確認できていません。金額や締め切りは、必ず国の公募要領と自治体の告知ページで最新を確認してください。これは毎年のように条件が変わる部分です。

省エネ効果と光熱費削減のシミュレーション

光熱費削減の例として、LIXIL試算の紹介では月約1,400円、10年で約16万円の節約例が示されています。

これはメーカー試算なので、あくまで一例として見てください。実際の削減額は窓の数・地域・暮らし方で変わります。補助金で初期費用を抑えれば、回収はもっと早まります。

寿命・経年劣化・メンテナンス性の違い

二重サッシは可動部やパッキンが増えるぶん、稀に建付けの調整が必要になります。とはいえ手間は大きくありません。

掃除の手間は正直に言うとデメリットです。窓2枚+枠のあいだに手が入りにくく、ここは交換窓より面倒。ただ、断熱や結露の恩恵を考えれば、私は十分に割に合うと考えています。

【現場目線】後悔しないための注意点と失敗例

【重要】意外に知らない人も多い!二重窓とトリプルガラスの違いとは?【徹底比較】
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効果は出たのに「思ってたのと違う」で後悔する人がいます。原因はだいたい同じです。

掃除や開け閉めの手間という見落とし

内窓を付けると、窓を開けるのに2回操作が要ります。換気をよくする部屋だと、これが地味にストレスになる人がいます。

よく開ける窓は使い勝手も込みで考える。掃き出し窓は特に、開閉頻度を相談してから決めると後悔しにくいです。

イメージ違い・仕上がりで後悔しないコツ

内窓のフレーム色や枠の厚みで、部屋の印象は変わります。完成イメージを共有せずに進めて「圧迫感が出た」という声を聞いたことがあります。

カタログのフレーム色サンプルを窓際に当てて確認する。これだけでイメージ違いはかなり防げます。

施工事例とビフォーアフター

私が立ち会った中で印象的だったのは、北側の寝室。結露でカビが出ていた窓に内窓を入れたら、翌冬の結露がほぼ消えました。

逆に、リビングの大きな掃き出し窓は開閉頻度が高く、「2回開けるのが面倒」という声も出ました。効果と使い勝手はセットで判断する、これが現場で得た結論です。

よくある質問(FAQ)

窓口でよく受ける質問を、結論先出しでまとめます。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

断熱窓と二重サッシの違いとは?
断熱窓は「断熱性能の高い窓」の総称、二重サッシ(二重窓・内窓)はその実現方法の一つで、既存窓の内側にもう1枚窓を追加する構造です。性能の話と構造の話というレイヤーの違いがあります。
費用はどちらが安い?
窓の大きさや性能で変動するため一概には言えませんが、既存窓を残して内側に足す二重サッシのほうが、壁を壊さず工期も短く済む傾向があります。正確な金額は自宅の窓を測った現地見積もりで確認してください。
設置の始め方・依頼先は?
まず自宅の窓の数とサイズ、内側の干渉物(カーテンレール等)を確認し、リフォーム会社や窓専門業者に現地見積もりを依頼します。補助金を使うなら、国の先進的窓リノベ事業と自治体制度の最新要領を申請前に必ず確認しましょう。

迷ったら、まずは自宅の窓を1枚スマホで撮って、現地見積もりを取るところから。机上の相場より、自分の窓の数字が一番確かです。

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梶原 誠一

梶原 誠一

住宅省エネ診断士(ファイナンシャルプランニング技能士2級保持) ・ 工務店・リフォーム会社での補助金申請実務サポート経験10年以上

住宅省エネ補助金の申請サポートに10年以上携わり、実際の申請書類や自治体窓口への取材をもとに、制度の使い方を具体的に解説します。難解な要件や締め切りの変更も一次情報に当たって確認し、読者が実際に動けるよう書くことを心がけています。

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